TBMの歴史 |
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2021.6.5 |
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・山岳トンネルでは、かつて青函トンネルで輸入された大型トンネルボーリングマシンが使用されたが、多量の湧水や底盤の泥ねい化するトンネル条件に立ち往生し、役に立たなかった。しかし、その後、IT技術の進歩も味方しトンネルボーリングマシンの技術発展が進み、山岳トンネルに小断面のTBMで掘削先行し追って拡幅する工法(奥羽山脈を貫通する高速道路トンネルなど)が実績を上げ、安定した軟岩層ではあるがドーバー海峡トンネルの早期掘削に成功し、イギリスの有名な国際救助隊サンダーバード2号搭載のジェットモグラではないが、シールドトンネルから山岳トンネルをカバーする技術発展を遂げつつあると思われる。 |
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NATMへの切替機構を兼ね備えたTBMの施工 |
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2021.6.5 |
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トンネルと地下2021年1月号(Vol.52,No.1)から「NATMへの切替機能を兼ね備えたTBMの施工」−新姫川第六発電所導水路トンネル− 黒部川電力(株) 杉森学 本工事は姫川水系における豊富な河川水を有効活用するため,2022年4月の運行開始を目指し,最大出力27,500kW(水路式)の新姫川第六発電所を建設するものである。 本工事の導水路トンネル(φ4.75m,L=3,807m)は,糸魚川−静岡構造線のすぐ西側に位置し,この構造線に沿って蛇紋岩,変成岩や泥岩など,付加体地質を含む脆弱地山が存在することが予想される。 TBMは均質な硬岩地山を掘削する際には高速掘進が可能であるものの,不良地山の介在する地質では補助工法の施工などで掘削を停止したり,地山の押出しでTBMが拘束されることが多く,高速施工のメリッ卜を活かすことができないことが多い。 本工事では高速掘進可能なTBMの機能と脆弱な地山にも対応できるNATMへの切替機能を併せ持つ新たな掘削機(通称:NATBM;鹿島建設とコマツ共同開発)を適用することとした。 NATBMの特徴は、次の通りである,(1)地山の崩落などでカッタヘッドが動かなくなった場合の後退機能(最大3m),(2)カッタヘッド上部および中央部の開口機能,(3)カッタヘッドをもつTBMモードからNATM作業機(バケット式掘削機)艤装に切り替え、掘削と支保工設置を行う。 さらに、不良地山の前方探査用3次元反射トモグラフィ(TRT)を装備しており、予測不良地山30m手前からNATBM作業デッキの150kg級削岩機を用いて削孔検層を行う。 現在は最大日進52.5m/日,平均月進320m,掘進距離2,500mであるが,今後,蛇紋岩や混在岩の不良地山に遭遇する予想であり,掘削実積について次年度に報告する予定である。 (続編が期待されます) |
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