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都市と環境対策 


都市部の大深度地下トンネル
2020.5.10
・トンネルと地下 2020年1月 Vol.51,No.1(2019年12月)深さ89m・断面積1,000mの大深度地下シールド工事用立坑の施工−中央新幹線 北品川非常口−東海旅客鉄道(株) 吉岡 直行ほか
 中央新幹線では開業後の非常口の役割を担うシールド立坑をおおむね5km間隔で路線直上に設置する計画としている。当該地点では、表層のTP+19mまで盛土+沖積層が分布し、以深は固結シルトと砂質土から成る上総層群(N値50以上)が分布する。立坑は深さ89m、掘削径約36mの計画であった。設計時は水圧、土圧(上総層では土圧一定値を採用)、偏圧を設定し、工法は硬質地盤、高水圧に適する連壁による開削工法を採用した。連壁の各ガットは幅3.2m、厚さ1.3mとし、本体工の覆工は開口部を含む底部で厚さ4.3m、それ以浅では厚さ3.0mとした。掘削機械は硬質地盤に適する回転水平多軸式掘削機を採用し、100m級の掘削に対応した改造を行った。施工時の鉄筋計、水圧計の実測値と設計上の荷重値の乖離は極めて小さく、設計の合理性を表す結果となり、中央新幹線の大深度立坑の設計法の妥当性が確認できた。

 

地山から可燃性ガスが発生するトンネルの施工
2020.5.10
・トンネルと地下 2020年1月 Vol.51,No.1(2019年12月)可燃性ガスを含む地山を発破掘削で施工−国道47号高屋道路 猪ノ鼻トンネル−国土交通省 佐藤 浩明ほか
 本トンネルは、山形県最上川沿いの自動車専用道路に属する延長約3kmの山岳トンネルである。分布する新第三紀層草薙層硬質泥岩は日本海側に発達する油田・ガス田地帯の一部であり、可燃性ガスを含むことが予想された。このため、事前に前方調査ボーリングによる可燃性ガス調査、換気設備の増強、非常用電源システムと24時間連続換気システムの構築を行った。施工では発破工法による掘削を行うことから、可燃性ガスの管理レベル設定、坑内火気使用ルールの設定、自動ガス検知システムの設置、専任ガス測定者によるレーザーメタン測定器の使用、安全教育と坑内避難訓練等、安全管理を厳重に行い、トンネル掘削を完了した事例が報告された。


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