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有限要素法(FEM)


有限要素法(FEM)の活用
2021.6.5
 例えば山岳トンネルの標準工法のNATMは、初期地圧(各種の現地盤;地山と呼ぶ)、掘削、一次支保工(鋼アーチ支保工,吹付コンクリート,ロックボルト)、補助工法(アンブレラ工法,鏡ボルト,脚部補強,サイドパイル)、変形収束後の防水シート設置、二次覆工(無筋コンクリート,鉄筋コンクリート)と工種が組み合わさって施工されるため、地山の力学特性を設定し、施工ステップに分けて段階的に解析する(ステップ解析)する方法が適しており、汎用的に利用されている。
 

FEMと力学モデル
2021.6.5
【力学モデル】代表的な力学モデルは線形弾性モデル、非線形弾性モデル、弾塑性モデル、粘弾性モデルなどがある。
1)線形弾性モデル
 土圧(地圧)に係わらず、地山の応力と変形が線形関係にある。最も解析速度が速く、すべてのモデルの基本になるモデル。計算がスピーディーに流れる(run)かどうか、物性値の組み合わせや側圧係数、荷重の設定に問題がないかどうか、確認する上でも重要な解析と位置づけられる。以下のモデル解析は、この線形弾性解析のチェック後に設定し実行する。

2)非線形弾性モデル
 土圧(地圧)に伴い、地山(地層)の弾性係数が曲線的に低下するモデル。地表面沈下やトンネル天端の沈下量が大きくなり、安全側の評価ができる。都市トンネルで推奨されるモデル。除荷されると残留変位がない弾性モデルであることが特徴。ただし、地山応力の小さい断面(土被り1D以下で建築などの上載荷重がない場合)では線形弾性解析と差異がない場合がある。
 パラメータの設定基準表がNEXCO高速道路会社(元JH日本道路公団)から提案されている。

3)弾塑性モデル
 モール・クーロンやドラッカー・プラガーの破壊則を適用し、土圧(地圧)が閾値(しきいち)を超えると破壊すなわち塑性化するモデル。破壊則の定数は地盤のC,φで決まるため、土質・岩石のせん断試験でC,φを得るか、妥当なC,φを既往資料から設定することが重要で、一般値からの解析では精度が劣る。破壊域が出て、描画出来るため、ゆるみ範囲が分かり、ロックボルトの長さや支保構造の設計に有効な解析となる。
 弱固結砂質土地山、膨張性地山などの塑性化が想定される地山の解析に適用される。

4)粘弾性モデル
 クリープ解析である。フォークトの力学モデルに直列にばね要素を設定した三要素モデルとも呼ばれる。数十年後までの変形を再現し、経年変状したトンネルの再現解析、対策工検討解析に利用される。代表的な補修トンネルとして、福島県内の国道トンネル「東栗子トンネル」が報告されている。さらに高度な粘弾塑性解析があるがソフトが限られ、設定パラメータが多様であるため、不経済で信頼性に劣るとの評価がある。

5)不連続面あるいは接触面モデル
 断層や覆工背面に分離面として設定する。R.E.Goodmanの提唱モデル等がある。

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