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ノンテクトニック断層


地質構造運動以外の要因の断層(地層の不連続面)
2021.12.29
ノンテクトニック断層研究会 編著 
「ノンテクトニック断層」識別方法と事例
 横田修一郎・永田秀尚・横山俊治・田近 淳・野崎 保ほか
 2015年3月29日初版第1刷発行
 近未来社(名古屋市名東区)全248page

 ノンテクトニック断層(non-tectonic fault;Lettis et al.1998)は「地質構造運動以外の要因による断層」を意味し、主に正断層センスで、深度と共に不鮮明となり、形成範囲が地表・地殻極浅部に限定されるものとされている。
 ノンテクトニック断層は地層の隆起や地表の削剥による応力開放によるシーティング節理が国内で深度400〜750mで確認され、中国で地震時に発生した史上最大級・大光包(Daguangbao)地すべりの下面が深度600mとされることから深度1000m以浅と考えられる。
 

本書の内容
2021.12.29
 

 本書は、特に活断層調査で重要視されるトレンチ調査での起震断層か他の要因の断層であるかの判別や、規模の大きな地すべりのすべり面確定という社会的ニーズの高い問題に対して、フォッサマグナや中央構造線のような大規模な構造線や地質分布を区切る非活動性の断層を除いた重力、地震、火山、岩石膨張などの要因による断層(地層の不連続現象)の特徴や成因について写真、図版で詳しい観察の記載・解説を行っている。


第1章 ノンテクトニック断層の定義、形成場所およびその要因
第2章 形成要因からみたノンテクトニック断層とその識別
 重力による、地震動による、火山活動による、テクトニック断層から転化したもの、その他の要因によるノンテクトニック断層、断層と誤りやすい構造
第3章 事例:重力性断層
 斜面変動による、多重山稜に関する、バレージングに伴う、軟質な第四紀堆積物中における、テクトニック断層から転化したノンテクトニック断層
第4章事例:地震動による断層
 1995年兵庫県南部地震、1997年鹿児島県北西部地震、2000年鳥取県西部地震、2004年新潟県中越地震、2005年福岡県西方沖地震、2007年能登半島地震、2008年岩手・宮城内陸地震、先史時代の地震
第5章事例:火山活動による断層
 宮崎県霧島火山、鹿児島湾内の新島(燃島)断層群、2000年北海道有珠山火山活動
第6章事例:その他の要因による断層
 岩石・岩盤の膨張による、地震時の沈下と人工構造物の変形による。前者は青森県下北半島に位置する東通村原発立地トレンチ調査の解説を含む。
第7章課題と展望

  

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