耐震設計上の地盤種別 |
---|
2021.7.6 |
|||||||||
表-1.耐震設計上の地盤種別(道路橋示方書)
TG=4Σ(Hi/Vsi) Hi:i番目の地層の厚さ(m) Vsi:i番目の地層のS波弾性波速度(m/s) ここで,上式は、一般の示方書や指針において説明が見当たらないが、土質工学の教科書(例えば理工図書の土木工学全集「土質力学」pp319-321.)では、次のような説明がある。 「構造物への入力地震波の計算には、一般に、(耐震設計上の)基盤面から地表面までねじれ波(S波)を重複反射させて計算する方法が用いられている。 (中略)正弦波形の波動U0が入射波として基盤から表層内に伝達してくる場合、地表面の振幅Usの絶対値は、次式のようになる。 |Us|=2/√{cos^2(p・H/V1)+α^2・sin^2(p・H/V1)} ここに、p:円振動数,α:振動インピーダンス比α=ρ1V1/ρ2V2, H:表層の厚さ,ρ2およびV2:基盤の密度とS波速度, ρ1およびV1:表層の密度とS波速度 [α=1のとき最小値となり|Us|=2 (m)] Usの絶対値は、p・H/V1=π/2のとき最大となるので、地盤の基本固有周期は、次のように求められる。 TG=2π/p=2π・2H/πV1=4H/V1 図-2 ねじれ波の重複反射による計算の一例 [理工図書 土木工学全集「土質力学,pp321.の図をSI表示に] 表層が多層からなっている場合も同様の透過、反射を繰り返して計算すれば、基盤に到達した波により地表面で予測される振動が計算できる。(図-2)」 他の公表論文では、表層地盤の運動方程式の解から、次の第1次振動モードの固有周期とする説明もある。 地盤の固有周期Tm,表層地盤の固有円振動数ωmとして。 Tm=2π/ωm ={4/(2m-1)}・H/Vs, m=1,2,3・・・ 第1次振動モード(m=1)の固有周期 T1=4H/Vs 参考文献;志波由紀夫「地盤応答スペクトル」の提案と計算例,第31回土木学会地盤工学研究発表会講演論文集,2011 |
|||||||||
|
設計水平震度 |
---|
2021.7.7 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この地震力をFhとすると、Fh=(αh/g)・Wと式化される。ここで、αhは対象地震の加速度、gは重力加速度、Wは構造物の重量である。耐震設計ではαh/gは設計水平震度と呼ばれる。 設計水平震度は、地震加速度、構造物の固有周期及び地盤特性と関係している。道路橋示方書では、レベル1地震動(通常レベルの頻度の高い地震による)、レベル2タイプ1地震動(プレートが沈み込む海溝付近で発生し、津波の発生がありうる大規模地震による)、レベル2タイプ2地震動(兵庫県南部地震や新潟地震に代表される活断層直下型大規模地震による)の3タイプの地震動に対して、地盤種別ごとに、構造物の固有周期と設計水平震度の関係が折れ線グラフで図示されている。 また、地盤工学分野では、次のように事業体及び対象ごとに設計水平震度が決められ、地域係数などで補正して耐震設計に運用されているので、留意が必要である。 表-2.道路橋に関する地盤の設計水平震度の変遷(近年)
表-3.擁壁工を対象とする設計水平震度の標準値 kH0
表-4.液状化判定に用いる設計水平震度の標準値
表-5.地盤の安定解析に用いる設計水平震度の標準値
以上 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|