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変成岩とテクトニクス


岩石学という学問
2020.3.8
 野外調査による岩体分布(地質図)の把握、産状(occurrence:産出状況)の観察と記載、偏光顕微鏡による岩石記載学、全岩化学分析・微量元素分析・EPMA等極小部化学組成分析・同位体分析等の岩石化学、高圧・高温実験による相律図等を駆使した岩石成因論からなる。
 対象岩石は、火成岩(火山岩、半深成岩(岩脈、岩床)、深成岩)、堆積岩(火山砕屑岩を含む)、変成岩がある。

オフィオライト
2020.3.8
 超塩基性岩(橄欖岩、輝石岩)、高圧変成岩(角閃岩等)、ドレライト(粗粒玄武岩)岩脈群、枕状玄武岩質溶岩、チャートや石灰岩等の海底堆積物が一連に上載する地質ユニットを、総称してオフィオライトという。
 オフィオライトは従来、一般に海洋地殻がプレートテクトニクスにより沈み込み帯で収束し、大陸地殻に付加して陸化したものと考えられて来た。



 Robert.G.Coleman "Ophiolites" Ancient Oceanic Lithosphere?
 Springer-Verlag Berlin Heidelberg NewYork,1977.
    

変成岩研究の進展と展望
 2021.02.14

地質学雑誌 第123巻第9号「125周年記念特集:日本の変成岩研究の最近の進展と将来展望(その1)」, 2017年9月
 
(1)榎並正樹・平島崇男,2017,高圧−超高圧変成岩研究25年,地質学雑誌,123,661-675
(Enami,M. and Hirajima,T.,2017,Progress on Petrology of high- and ultrahight pressure metamorphic rocks:25years.Jour.Geol.Soc.Japan,123,661-675)

Abstract
 This paper provides an overview of recent progress in the study of hjgh-and ultrahigh-pressure metamorphic rocks which record the dynamics and material interaction at subduction and continental collision zones.
 The focus is on ultrahigh-pressure metamorphic terranes worldwide for which Japanese scientists have contributed to petrological studies, and high-pressure metamorphic rocks, particularly eclogite and related lithologies, from the Sanbagawa, the Renge and other high-pressure metamorphic regions in Japan.
 Keywords: metamorphism, metamorphic rocks, high-pressure, ultrahigh-pressure

(日本語要旨)
 本論文では主に1990年代以降に印刷公表された研究成果をもとに,沈み込み帯や大陸衝突深部で起こっているダイナミクスや物質相互作用を記録した高圧−超高圧変成岩の研究を概観している。そして,その内容は,世界の超高圧変成帯のうち日本の研究者が岩石学的分野において重要な貢献をした地域と、日本の高圧変成地域(三波川変成帯や蓮華帯・黒瀬川帯・長崎変成岩・神居古潭帯)のエクロジャイトおよびそれに関連する岩相に焦点を当てたものである。
 日本人研究者が貢献した世界の変成帯、すなわち中国東部・大別山−蘇魯(Dabie Shan−Sulu)超高圧変成帯,カザフスタン・コクチェタフ山塊,チェコ・ボヘミア山塊,キルギス・天山山脈,西アルプス,スカンジナビア半島カレドニア造山帯においては,3GPa(100km以深)や5-6GPa(深さ約200km)の高圧、超高圧下で形成されたコース石や変成マイクロ・ダイヤモンドが報告されている。

[はじめに]
 日本地質学会(編)『日本の地質学100年』において,廣井(1993)は「1970年以降に行われた変成岩に関する研究の多くは,1960年代までに芽生えた考え方や方法によっており,それを発展・拡張していったものである。」とまとめた。
 そして,変成岩の研究においては,電子線プローブ・マイクロアナライザー(EPMA)をはじめとする種々の分析装置の実用化によって精度の良いデータが蓄積されることと相まって,静的な相平衡解析に動的情報を取り込み,圧力(P)-温度(T)-時間(t)-変形(D)解析という新しい研究手法が提唱,実用化されたことを強調し,多種・多様な他の研究分野との連携によって現実的に意味を持つテクトニクスも論じられるようになったことを述べている。
 すなわち「合成実験の成果が変成作用の温度・圧力条件を決定する事を可能にし,それを固溶体鉱物からなる変成岩に応用するための固溶体の熱力学的モデルの構築が進み,条件がそろえば個々の岩石の生成温度・圧力を,単変曲線で囲んだ区域(例えば変成相)でなく,数値で直接語ることが可能になった。そして,年代測定値や岩石・鉱物の分析値が質と量の両面で革命的に増加したことなどと相まって,世界各地の造山帯に分布する広域変成岩の研究が着実に進んでいた。
 しかし変成岩岩石学の地質学への貢献は,都城の提案した変成相系列と対の変成帯の概念の枠内で進歩していた(坂野・檀並,2002)」.
 一方で,「日本の地質学100年」の原稿が執筆されていた1980年末から1990年初頭にかけて,超高圧変成作用(UHPM)という変成岩分野における一里塚となる研究が新たに進行していた。そしておよそ10年後の2001年に,UHPM Workshop 2001 "Fluid / Slab / Mantle Interactions and Ultrahigh-P Minerals"が早稲田大学で,それに続いて"The Sixth International Eclogite Conference"の討論会と野外巡検が新居浜市,旧別子山村と旧土居町を会場として開催された(坂野,2002)。
 本論では,高圧−超高圧変成作用をキーワードとして,プレート収束域の岩石学的研究に関して主に日本の研究者が大きな貢献をした成果を概観する。
 なお,超高圧変成作用を中心とする研究全体のながれは,Coleman and Wang(1995), Hemly(1998), Ernst and Liou (2000), Carswell and Compagnoni (2003), Emstet al.(2006), Schertl et al.(2009)や Dobrzhinetskaya et al.(2011)などを参照されたい。
 また,丸山ほか(2004)やMaruyama etal.(2010)は,広域変成帯の研究史を総括するなかで,それまでの変成作用論に疑問を呈し,広域的温度構造の成因や変成帯上昇メカニズムなどに関して新しいモデルを提唱した。

[超高圧変成岩]
1980年代前半にコース石を含む変成岩類が西アルプス・ドラマイラ(Dora Maira : Chopin,1984)とノルウエー・西部片麻岩地帯(Western Gneiss Region : Smith,1984)から報告され,圧力2.8-3.0GPa以上(90-100km以深)で再結晶した岩石が地表に露出することが明らかとなり,それらは超高圧変成岩と呼ばれるようになった。
当初は,その様な岩石の産出は極めてまれであろうと漠然と考えられていた.しかし,1989年に中国東部・大別山(Dabie Shan)-蘇魯(Sulu)からコース石の産出が報告されて以来、(略:世界各地で)相次いで報告され,沈み込む地殻物質が100km以深に達した後,再び地表まで戻るという大規模な物質循環とそれに伴う地殻−マントルの相互作用が普遍的な現象として進行していることが次第に明らかとなってきた。・・・


(2)地質学雑誌 第123巻第9号「125周年記念特集:日本の変成岩研究の最近の進展と将来展望(その1)」, 2017年9月
青矢睦月・遠藤俊祐,2017,初期三波川変成作用の認識,及び後期白亜紀三波川沈み込み帯の描像,地質学雑誌,Vol.123,No.9,p.677-698
(Aoyama,M. and Endo,S.,2017,Recognition of the 'early' Sambagawa metamorphism and a schematic cross-section of the Late Cretacaous Sambagawa subduction Zone:25years.Jour.Geol.Soc.Japan,123,677-698)

Abstract
 Recent petrological studies on the Sambagawa metamorphic belt in Shikoku have recognized that the coarse-grained eclogite-bearing lithologies (so-called 'tectonic blocks' in earlier studies) in the Besshi area exclusively preserve evidence for the 'early' Sambagawa meta-morphism, which can be related to onset of the Sambagawa subduction system during Early Cretaceous (c.116Ma). Geological mapping and associated multidisciplinary studies on the regional (spatially widespread) Sambagawa metamorphism (both the eclogite-facies and main metamorphisms) have revealed the tectonic framework of the Late-Cretaceous Sambagawa subduction zone as follows:
(i) a spreading ridge was approaching close to the trench; (ii) the sub-ducting slab was coupled with the convective mantle at depth of >65km;
(iii) thickness of the hanging-wall continental crust was 30-35km; and
(iv) the forearc mantle wedge (30-65 km depth) was largely serpentinized.
 These features allow us to draw a semi-quantitative cross-section of the Sambagawa subduction zone at around 89-85Ma,implying that boundary conditions for thermo-mechanical modeling aiming to simulate exhumation of high-P/T metamorphic rocks are now well constrained. It has also become clear that ultramafic blocks dispersed in the higher-grade part of the Sambagawa belt were derived from the mantle wedge, i.e. the corresponding part of the belt has been re-evaluated as a 'fossil subduction boundary' of a relatively warm subduction zone. Field-based petrological studies in the Sambagawa belt can, therefore, have potential to provide invaluable information on material behaviors at the slab-mantle wedge interface including domains of episodic tremor and slip (ETS) in present-day warm subduction zones.

 Keywords: Sambagawa metamorphic belt, petrology, geological mapping, modeling, Late Cretaceous, ridge subduction, thickness of fore-arc continental crust, coupling of slab with convective mantle, serpentinized mantle wedge

(日本語要旨)
 近年の四国三波川帯に関する研究から,テクトニックブロックと認識されてきた粗粒の含エクロジャイト岩体群に前期白亜紀(約116Ma)の初期三波川変成作用が記録されていることが判明した。すなわち、エクロジャイト片岩の発見によって、もともと海洋地殻の表層部をなしていた苦鉄質片岩や泥質片岩の変成条件がエクロジャイト相に達していたことが確実となった。
 一方、後期白亜紀(約89〜85Ma)の主たる三波川変成作用については,海嶺の海溝への接近というテクトニックな状況,蛇紋岩化したマントルウェッジの存在,またスラブとマントル対流の結合深度(約65km)や上盤側大陸地殻の厚さ(約30〜35km)が認識され,当時の沈み込み帯の模式断面図がかなり具体的に描けるようになった。
 同時に散在する超苦鉄質岩類が上盤側マントルウェッジ起源であることも判明し,三波川帯は「深部沈み込み境界の化石」として再認識された。深部低周波微動やスロースリップなど,現世沈み込み帯で観測される注目すべき地質現象の解釈に当たり,物質科学的な情報を提供しうるフィールドとして期待がかかる。

[はじめに]
 三波川帯は西の九州佐賀関半島から東の関東山地まで,東西約800 kmに渡ってほぼ連続的に延長する低温高圧型(以後,高圧型)変成岩の分布域,つまり高圧型の広域変成帯である(中島ほか,2004b; Wallis and Okudaira, 2016; Fig.1a).世界の海洋沈み込み型の高圧型変成帯の中でも,三波川帯は,その形成場からある程度の空間的連続性を保持したまま上昇・露出した貴重な例といえる.つまり,大陸衝突を伴わない活動的な沈み込み帯上にあり,かつフランシスカンなど多くの環太平洋域高圧型変成帯のような蛇紋岩メランジュではなく,また三郡周防帯のようにばらばらになっていない,沈み込み帯深部情報がよく保存された地質体として1つの世界標準と位置づけられる.

 高圧型変成帯としての三波川帯は,中央構造線(MTL)を北限とし,その南方は大局的に見ればジュラ紀付加体である秩父累帯北帯に漸移する(Fig.1b).あとに述べるように,エクロジヤイト等も含めたほとんど全ての三波川変成帯構成岩の原岩形成は前期白亜紀以降(約120 Ma以降)と考えられるが,主に後期白亜紀(約89-65 Ma)に起こった三波川変成作用の影響は南側の秩父累帯北帯にも及んでいると思われる。そのため,いわゆる秩父累帯北帯(御荷鉾緑色岩類よりも南側)にまで三波川変成作用の及んだ領域としての三波川帯を拡張するかどうかが,1つの議論の的となっている(脇田ほか,2007など).本稿では秩父累帯北帯の大部分にも低変成度の三波川変成作用が及んでいたという立場を取るが(Endo, 2015),原岩年代も加味した地体構造区分としての三波川帯-秩父帯境界問題には立ち入らない.


(3)地質学雑誌 第123巻第10号 907-919ページ 「125周年記念特集:日本の変成岩研究の最近の進展と将来展望(その2)」, 2017年10月
 前川寛和・村田恵子,2017,マリアナ前弧域直下の蛇紋岩化作用と低温高圧型変成作用,地質雑,123,907-919.
(Maekawa, H. and Murata, K., 2017, Serpentinization andblueschist-facies metamorphism beneath the Mariana forearc.Jour. Geol. Soc. Japan,123,
907-919.)
 
(日本語要旨)
 近年の海洋調査船による海底での地質学・岩石学的研究が進展し、例えば日本列島南方海域のマリアナ前弧には蛇紋岩海山が数多く存在し,巨大な海山群を形成していることが分かってきた。
 これらの海山を構成する蛇紋岩化したかんらん岩に含まれる蛇紋石鉱物は,クリソタイル/リザダイトを主体とするが,より高温粂件下で安定なアンティゴライトを含む鉱物共生をもつものもあり,それらは特徴的にcleavable olivineを伴う。また,アンティゴライトの形成前後に形成されたクリソタイル/リザダイト脈が共に認められ,沈み込み帯内部における蛇紋岩化作用時のテクトニックな下降・上昇過程を示唆していると考えられる。
 これまでにマリアナ前弧のコニカル海山,ツインピークス海山,南チャモロ海山から低温高圧型変成岩類が発見されており,それらは青色片岩相の低温部の変成作用を受けたと推定される。これらの中には角閃岩が再度変成作用を受けたものがあり,その角閃岩の初期の鉱物組合せから青色片岩相の変成作用に先立つ緑簾石-角閃岩相当の変成作用の存在を示唆している。

[はじめに]
 太平洋西縁に沿う海溝陸側斜面では,蛇紋岩化したかんらん岩類がしばしば露出している.トンガ海溝の陸側,斜面におけるかんらん岩類,はんれい岩類,玄武岩類の存在は早くから知られていた(Fisher and Engel, 1969; Hawkins et al.,1972等).マリアナ海溝陸側斜面では,1970年代後半から超苦鉄質岩,苦鉄質岩等が露出しているとの報告はあったが(Honza and Kagami, 1977;1GCP Working Group,1977).いずれもドレッジによる岩石試料の回収に基づくもので,その産状は明らかではなかった.
 Fryer etal.(1985)はマリアナ海溝西側に拡がる前弧域の地形を詳細に解析し,地形上の特徴からホルスト状の高まりとドーム状の形をもつ海山(ダイアピル海山)を区別すると共に,後者が海溝軸に沿って延びる大規模な蛇紋岩海山群をなすことをはじめて示した.蛇紋岩海山群は,そのさまざまな特徴から,マントルウエッジを構成するかんらん岩が,沈み込むプレートの上載堆積物から絞り出された水により蛇紋岩化し,結果として軽くなり浮力を得た蛇紋岩がダイアピル岩体として上昇し,海底に吹き出して形成されたと考えられている.
 近年,マントルウエッジのかんらん岩の蛇紋岩化は,沈み込み帯における物質循環の観点から注目を浴びており(例えば,Hyndman and Peacock, 2003),そのアウトプットのひとつの形としての蛇紋岩海山の研究意義は急速に高まっている.


(4)小山内康人・中野伸彦・足立達朗,2017,島弧一大陸地殻深部現象の研究進展:超高温変成作用の精密解析.地質雑,123, 879-906.COsanai, Y., Nakano, N. and Adachi, T.,2017,Recent progressin lower crustal process: precise analyses on ultrahigh-temperature metamorphism. Jour. Geol. Soc. Japan, 123, 879-906.)

(日本語要旨)
 超高温変成作用とは,およそ1GPa以下の比較的低温条件下で900℃以上のグラニュライト相の中でも特に高温な変成温度条件を示す変成作用と定義される。超高温変成作用は地殻内で起こりうる高温限界で生じる変成作用であり,一般に特異な鉱物共生と様々な変成ステージで形成されたシンプレクタイトなどの複雑な組織を保持する場合が多い。このような超高温変成岩の精密解析から得られる温度−圧力−時間履歴は,地殻内における物理・化学現象,ひいては地球創生期からの造山運動や大陸地殻成長プロセスの解明に重要な意味を持ち、様々な意見があるもののプレート境界域(収束型および発散型)で生じるマントルに由来するマグマ活動との関連が指摘されている。
 地質学会創立100周年以降現在までの25年間において,日本の地球科学者によって多くの新たな超高温・変成岩の発見とその形成過程の解析,加えて多くの超高温実験も実施されてきた。本論では,過去25年間における日本人研究者による超高温変成岩の研究について概括し,主に著者らが行ってきた太古代末期〜白亜紀における超高温変成岩体の研究と実験岩石学的研究について,新たに取得したデータを交えつつ紹介する。研究事例は,1)東南極・ナビア岩体,2)スリランカ・ハイランド岩体,3)ベトナム・コンツム地塊,4)肥後変成岩体,5)フッ素含有Btの脱水溶融実験である。

[はじめに]
 変成作用は,ダイアモンド,コース石や純粋なパイロープなどが構成鉱物として出現するマントル内の物理(温度・圧力)条件で起こった変成作用を除き.一般的に地殻内部で発現する地質現象である.変成作用を規定する温度領域は,続成作用との境界領域となる200℃以下の低温から1000℃を越えるマグマの温度に匹敵する高温条件まで広範であり,圧力条件は地表の常圧条件から上部マントルの5GPaに至る超高圧条件まで,広範な領域を示す(Fig. 1).
 Eskola(1920,1939), Coombs(1954)や Liou et al.(I987)などによって定義された様々な"変成相(metamorphic facies)"は,一般的な地殻内の変成作用を表現する上では充分に機能する概念であり,最高温の変成相として"グラニュライト相",また最高圧の変成相として"エクロジヤイト相"が定義されていた(Fig.1).-方,1990年代後半以降には.グラニュライト相の中でも特に高温条件を示す変成岩類が普遍的に見出されるようになり,Harley(1998)はこのような変成岩を"超高温(Ultrahigh-temperature; UHT)"変成岩と定義した.
 一方で,ダイアモンドやコース石を含みエクロジャイト相の中でも特に高圧条件を示す変成岩は"超高圧(Ultrahigh-pressure; UHP)"変成岩と定義されている(例えば,Sobolev and Shatsky, 1990; Caoue-Long et al., 1991; Chopin,2003; Carswell and Compagnoni, 2003).超高圧変成岩については,本特集号の榎並・平島(2017)に詳しい.
 日本地質学会100周年となった1993年以降,島弧〜大陸地殻深部でおこる高温〜超高温変成作用(地殻深部変成作用:deep crustal metamorphism)に関する日本の研究者による研究成果は,世界の研究動向と歩調を合わせつつ大幅な進展をみせた.変成岩の精密な岩石学的記載や変成作用の温度・圧力条件の解析などの一般的な変成岩岩石学的解析の進展に加え,この25年間で大きく進んだ研究トピックとしては,次の3点があげられる.
(1)世界各地における超高温変成岩類の発見と変成プロセスの精密解析
(2)高温〜超高温変成条件下での部分溶融過程と珪長質マグマ生成過程の精密解析
(3)個々の変成岩に関する変成履歴 (pressure-temperature-time path,P-T-t経路) の精密解析に基づくテクトニクスの解明

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