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高レベル放射性廃棄物 地層処分


高レベル放射性廃棄物の地層処分とは?
2017.8.26
 高レベル放射性廃棄物処分の問題は、東日本大震災以降、原子力エネルギーの是非を含め議論が高まっています。

 地層処分は、地下300mよりも深い地下地質環境(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号))に、ガラス固化された高レベル放射性廃棄物を数万年以上の隔離、処分することである。

[地質学雑誌,2014,Vol.120,No.10 特集 地層処分と地質科学(その1)地質環境とバリア機能 前文より]

適地は安定な岩盤で海岸から20km圏内が有力か
2017.8.26
・処分サイト選定にための地質学的評価点

1)地域や地質体ごとの長期的な地質学的現象や特徴を理解する。
 地震、火山、浸食活動などの変動帯としての理解

2)地下環境の長期的な放射性元素(核種)の隔離(バリヤ)機能を適切に評価する。
 風化・酸化現象、高精度の水理・水文現象、バリヤに用いる粘土の長期安定性

・既往深部環境調査データが存在するので、どのような評価となっているか国民に公表したほうがよい。これまで多額の税金で調査を行っていて、データの開示が必要と思われる。

1)岐阜県瑞浪市の超深地層研究所(白亜紀土岐花崗岩)の縦坑道掘削と各種試験結果の評価とまとめ

2)北海道幌延町の深部地層研究所(第三紀堆積岩類)の坑道建設と各種試験結果の評価とまとめ

3)中部事業所(かつての動燃、現・日本原子力研究開発機構)の東濃花崗岩体での基礎研究結果

4)金属鉱山直轄の資源探査開発コンサルタント(メタコン6社)の親会社鉱区、鉱山敷地内での深部地質環境調査(深部岩盤調査)の総合取りまとめ結果
    

地層処分場候補地 20年かけては遅すぎるのでは?
2017.8.26
 核のごみ最終処分場「適地」900自治体に 陸地の3割
2017/7/28 15:01 日本経済新聞HP

 資源エネルギー庁 公表マップ



 経済産業省・資源エネルギー庁は28日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)について、最終処分場の候補地となり得る地域を示した「科学的特性マップ」を公表した。日本の基礎自治体約1750のうち、約900が安全に処分できる可能性が高い地域にあたる。日本の陸域の約3割を占める。経産省はマップをもとに9月から自治体への説明を始め、候補地の選定作業に入る。

 政府は28日午前に開いた関係閣僚会議でマップの公表を決め、全国の自治体に通知した。

 マップの公表は数万年に及ぶ核のごみ処分に向けた議論の一歩となるが、地元の理解を得て最終処分地を決めるまでに曲折があるのは確実だ。周辺環境への影響評価や、実際の掘削調査など20年程度かけて建設場所を決める。技術的に確立していない面も多く、前途は多難だ。



 世耕弘成経産相は閣議後の記者会見で「最終処分の実現に向けた重要な一歩だが、同時に長い道のりの最初の一歩だ」と語った。

 マップでは火山や活断層、地下資源が存在するなど8つの条件に当てはまる地域を除いた上で、核のごみを保管地から輸送しやすい海岸から20キロメートル以内の沿岸部を好ましい基準として選んだ。この結果、約900の自治体の地域が安全に処分できる可能性が高いとされた。

 経産省は9月からこの地域を中心にマップの説明会を開く。その上で公募や国からの申し入れを通じて、処分地建設に関心のある自治体を複数見つけたい考え。国と処分場を造らないとの約束がある青森県は除外し、原発事故からの復興途上にある福島県では説明会は開かない。

 核のごみは原発から出る使用済み核燃料などの放射性廃棄物。無害化までには数万年はかかり、地下300メートルに廃棄する。処分場の建設などの事業費は3.7兆円。原発を運転する以上は、核のごみの処分の問題は避けられない。フィンランドとスウェーデンは既に処分地を決めている。

    

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