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津波の特異性


津波の破壊力
2015.8.21
 その流速ゆえに、水深0.5mの津波で大人が転倒する可能性があり、水深2mで人身も家屋も容易に流し去る津波。2011.3.11の東日本大震災の津波は10m以上、遭遇した人命をいとも簡単に奪い去りました。どれほどの波力、流出物との衝撃があったか。


津波と地震
2015.8.21
 三陸海岸では、明治、昭和、平成と三度の大津波を経験しましたが、いずれも直前の地震の様子が異なります。前回の地震と津波の経験値は新たな地震と津波の関係には当てはまらなかった。通常は人生で1,2回しか経験しない大津波では包括的な現象と津波ごとに特異な現象を区別、整理し、広くわれわれ国民に啓蒙することは学問の責務であると思われます。

東北大学津波工学研究室Website
http://www.tsunami.civil.tohoku.ac.jp/hokusai3/

 実は、東日本大震災以前に津波災害に対する警告の書が刊行されていました。例えば、次のものがありました。

 『津波災害−減災社会を築く−河田惠昭,岩波書店(2010.12.)p191』

 2011年3月11日の東日本太平洋沖地震津波の発生前に出版された岩波新書。2010年2月27日に発生した遠地地震チリ地震津波の避難指示・勧告に対する非難した住民の比率が極端に低かったことに強い危惧を感じた津波工学研究の第一人者が著した。
 本書には高波、高潮を対比し、大きな波というより海面上昇を伴う海面から海底まで等速の大規模な「流れ」というべき津波のメカニズムについて、わかりやすく説明している。
 また、遠地地震津波(600km以上の離れた震源)と近地地震津波について、日本沿岸、ハワイ、インドネシア・スマトラとスリランカの例をあげて解説している。
 津波発生の特筆すべき特徴として、次のものが示唆されていた。
(1)日本の太平洋沿岸に震源があるプレート境界地震(千島海溝、日本海溝、南海トラフ)による津波では、大きな波高が約六時間継続する。
(2)地震の揺れは小さくとも、一分以上揺れる場合は、津波地震の危険性がある。
(3)日本海におけるプレート境界地震は、朝鮮半島やロシヤ沿岸と多重反射を繰り返し、丸一日、大きな津波が継続する。
 

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