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海溝型地震と巨大津波


2011年3月11日の巨大津波の成因
2017.5.20
海底地形調査による巨大津波の発生原因の研究
 2012年9月(第118巻第9号)地質学雑誌 特集 東北地方太平洋沖地震:統合的理解に向けて(その3)より

・小平秀一ほか「2011年東北地方太平洋沖地震:海底地形データから明らかにされた海底変動」[論説]

 東北地方太平洋沖地震による巨大津波の成因を究明するため、マルチナロービーム音響測深機による海溝横断方向の海底地形データを地震前のそれと比較した。

 その結果、海溝軸陸側の斜面が長さ1kmにわたって崩落し、高さ50mのデブリとして堆積していることが分かった。これは海溝軸の大陸棚側で海底地すべりがあったことを示している。

 また、1999年と2011年地震直後の地形偏差は海溝陸側において東南東に50m、10mの隆起があったとすると説明できる。

 これを受け、海溝軸から陸側に40km及び100kmの範囲をそれぞれ15mおよび5mの水位上昇が海溝に平行に100km続いているとするモデルを仮定し津波波形計算を行った結果、釜石沖の観測波形と類似の津波波形を得た。

 すなわち、日本海溝から陸側へ100kmの帯地帯が15〜5m(平均10m)隆起することによって深海の海水しいては海面を押し上げ、最大波高10m前後の巨大津波を発生させたと推定される。

観測された今次津波
2017.7.1
 東北地方太平洋沖地震の津波の発生は14時46分頃の地震によるもので、金曜日の日昼、多くの観測データと多数の官制、民生デジタル動画が公表されている。これらを整理しまとめることは膨大な作業であるが、次の大津波に備えるために大変有益な作業となるでしょう。

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