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地球の諸問題



【主に地球環境、防災に関する諸問題について】
 
 現在、津波のみならず地球の自然・人工環境の変化や各種災害は大型化が懸念されており、今後の地質学、地球科学の果たす役割は次のようなものがあります。これらの諸問題は、日本人にとっても国際社会にとっても重大な課題となっており、理学と工学の融合は特に重要であると考えます。

 1)高レベル放射性廃棄物の地層処分について
 放射性廃棄物の持ち込みに有利な海岸線から20km程度の距離にあり、火山活動、地震活動(活断層)等の大規模災害を受けない地域で、かつ深部花崗岩体(地表下300〜400m)などの堅硬で透水性の極めて低い安定岩盤が存在する所が候補地として考えられます。2017年7月、国は日本列島の沿岸の多くの地域が可能だとするマップを公表しました。福島第一のみならず廃炉計画を要する原子炉があり、日本にとっては緊急な重要課題ではありますが、立地決定にはまだ時間がかかる情勢です。
 2021年10月の政権与党(自民党)の総裁選挙は公開討論会が何度も行われましたが、核燃料サイクルの完成を確実視しているトップがいるようです。しかし日本では動燃の事故があり、世界的にも実現が危ぶまれているシステムと言われています。日本は青森県六ヶ所村で貯蔵施設(水槽)で保管されている高レベル放射性廃棄物。ガラス固化剤の実施は中国でもはじまったとする報道がありましたが、実際はどのような運営がされているのでしょうか。ちなみにアメリカやソ連で戦後に開発・実用化された原子力空母・潜水艦の小型原子炉制御技術。日本は原子力船むつの事故後、原子力船の開発を断念する核制御技術に劣る国であることを忘れてはいけないと思うのです。

東京新聞 行き詰まった核燃料サイクル 施設の廃止作業は遅れ、工場完成は見通せず

 いずれにせよ、海洋、大気、宇宙への投棄がハイリスク過ぎて現実的でない事は自明のため、選択肢は核燃サイクルか地層処分しかないのでは。今や政権の安泰を重要視し、子孫に負の遺産を残す事は避けねばなりません。国内各所の旧廃止鉱山で深部地質環境調査(深層ボーリング)を行いデータを積み上げている核燃機構および日本最高峰の知識人の集合の学術会議は責任を持った方針を提示する義務があると思われます。

 2)地球温暖化のメカニズム究明と今後の対策方針の提唱
 エルニーニョ等の海流や極地域の温度変化の研究、ヒマラヤの上昇に伴うモンスーンの形成研究、豪雨・土砂災害の変遷など。地球温暖化の実体の研究と今後の地球規模の対応に関して、理学研究の果たす役割は大きいと思われます。
 国際的に化石燃料の使用量のみが議論され、燃焼方法が議論されないでいいのかと思われます。日本と急な経済発展を行ってきた中国等は、排出する二酸化炭素の量で正しく比較が行われているのでしょうか。「カーボンニュートラル」、政治家が官僚が好みそうなタームですが、科学技術的に厳密に議論し、国際的な施行を期待しています。
 また、ガソリン車、ディーゼル車を電気自動車、水素エンジン車に変えていく事は、排出CO2の削減に大きく貢献することは分かりますが、一方で電気や水素を作り出すエネルギー(おそらく電力)を注視したトータルなエネルギー源収支の公開が望まれます。

 3)巨大津波の地史と水理状況の究明,予知と対策
 津波堆積物研究によって、過去の津波の発生した年代と浸水・遡上規模を知り、再来周期を想定する等、津波・海岸工学者との共同でハード及びソフトの両面から対策をとることが重要となっています。
 3.11以降、国の方針で最大規模津波(レベル2[L2]津波)予測を行う方針が示され、南海トラフ地震津波や千島海溝地震津波の巨大津波がシミュレーションの結果として公表され、社会的反響を呼んでいます。巨大津波の浸水域に避難所や市町村中核施設(市役所、役場、警察と消防、病院、学校)がある場合は計画的な移転が必要でしょう。
 また、東日本大震災後の防潮堤建設は、被災規模津波高(L2津波)ではなく、それより低い明治三陸津波規模のレベル1[L1]津波を対象としている事をもっと国民に広く周知させる事が必要です。そのために、東日本大震災の被災沿岸に津波研究所の設立が切望されるのではないでしょうか。
 
 4)巨大火山噴火の観測と噴火予測
 メガ噴火は一般国民はもとより工学関係者にも想像しにくいものと思われます。時間スケール、被害規模が地震・津波より巨大です。
 火山学者(火山地質学・岩石学)による歴史的な火山噴火・噴火堆積物の研究、及び気象庁や地球物理学者(主要大学の火山観測所)による桜島火山等の第四紀火山の地道な観測や物理探査による火山体、マグマだまり調査が、火山噴火の予測に欠かせません。
 ここ数年の木曽御嶽火山や阿蘇山の水蒸気爆発を機に、国や自治体による噴火避難シェルター設置や、気象庁による噴火警戒レベルの適切な運用(経済活動に優先する入山規制含む)も重要です。
 今年は小笠原諸島の海底火山の活発な活動があり、阿蘇山、桜島等の九州の陸上火山も活発化しています。火山専門の学科をもつ学部・大学院、火山観測研究所の充実と、地道な観測体制の確立、継続、国民への地学教育、登山者への安全教育と危険の周知を大切に行ってほしいと思われます。

2021.11.10更新

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