| ネパール初の道路トンネル−ナグドゥンガ・トンネル建設事業− |
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2026.4.26 |
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| トンネルと地下2025年(令和7年)11月.第56巻11号 ヒマラヤの難関地質に挑むネパール初の道路トンネル−ナグドゥンガ・トン ネル建設事業− ネパール速邦民主共和国インフラ交通省ケシャブ クマール シャルマ,ビ ジェイ ジェイシー,(株)安藤・間国際事業本部土木部 中谷匡志,井上 賢一 【概要】 ナグドゥンガ・トンネル建設事業は,日本の政府開発援助で円借款を原資 とした延長2,688mのネパール初の本格的な道路トンネルである.本道路工事 事業は首都カトマンズとポカラなどの主要都市を結ぶ幹線道路上に計画さ れ,当該トンネルを含む全長5.6kmのバイパスを整備するものである. ネパールでは,衝突型造山帯である標高8,000mを超えるヒマラヤ山脈が形 成され,地殻の圧縮応力が著しく卓越し,水平方向の初期地圧が大きい.ま た,造山運動に伴う衝上断層の形成や地層の摺曲など複雑でダイナミックな 地質が想定された. トンネル掘削中は,多くの断層や著しい劈開性を呈する岩盤が切羽に出現 し,応力解放(深部まで広がるものと推定された)に伴う大きな水平変位の 発生や日本でも見られる崩落・変状など大規模な地質トラブルが多く発生し た. 対策の実施については,ネパールで調達可能な資材に制約が多く,適用可 能な補助工法は限定された.本稿では,地質トラブルの原因について考察す るとともに,制約の多い環境で実施した対策について報告する. トンネル掘削による地山の実績は,先カンブリア系カトマンズ累層群の黒 色片岩、千枚岩、細粒砂岩などから構成された.地質構造はトンネル中央部 を軸とした背斜構造であった. 掘削施工中,トンネルと割れ目の関係から地質トラブルの形態は変化し, 鋼アーチ支保工なしのパターンは適用できず,当初設計パターンに対して2, 3ランクアップした区間が連続した. 本来,変状の大きなDU等級の鋼製支保工はH-150を用いるが,鋼材の輸送 及び加工に数か月を有するため,H-125を利用した特殊パターンを採用し た.具体的には,H-125の建て込み量を1m区間に2基に増やし,吹付けコン クリート厚を200mmに増し,ロックボルトL=6mのパターンボルトを倍増さ せ,支保工増の剛性アップを図った. また,切羽・天端の崩落に対して,日本では一般にAGFを用いるが,削孔 ツール,鋼管,注入資機材は日本でのみ製造されており,現地では施工中の 追加対策としては利用できなかったため,対策はセメントモルタル注入など による事後対策が主体となった. 一方,計測工は初期には十分な頻度や精度に問題があったが,現地スタッ フの習熟が進むにつれ計測の精度は徐々に向上し,岩盤挙動の重要なデータ を得ることが出来た.これらの施工記録が,今後のネパールのトンネル工事 に役立つと幸いである. Abstract Nepal's First Road Tunnel Tackles Challenging Himalayan Geology -Nagdhunga Tunnel Construction Project- By Keshab Kumar Sharma, Secretary of the Ministry of Physical Infrastructure and Transport, Federal Democratic Republic of Nepal The Nagdhunga Tunnel Construction Project is Nepal's first full- scale road tunnel, extending 2,688 m. The project is supported by a yen loan from Japanese Official Development Assistance. The Himalayas in Nepal are an orogenic belt formed by continental collision, exceeding 8,000 m in elevation, where compressive stress is markedly predominant. Complex and dynamic geological features, such as thrust fault formation and stratigraphic folding, were anticipated to be associated with orogenic processes. During tunnel excavation, numerous faults and rock masses exhibiting significant cleavage appeared at the tunnel face. This caused many large-scale geological problems, such as rockfalls and deformations, similar to those encountered in Japan. Regarding the implementation of measures, there were many restrictions on the materials that could be procured in Nepal, and the auxiliary construction methods that could be applied were limited. This paper examines the causes of these geological problems and reports on the measures implemented in this highly constrained environment. (以上)
2026.4.26 トンネルと地下2026年(令和8年)1月.第57巻1号 「令和6年能登半島地震で被災した中屋トンネルの復旧」 国土交通省 西野達朗,山本貴司,(株)安藤・間北陸支店奥能登作業所現 場代理人 戸田 皓 【概要】 国道249号は,石川県七尾市を起点とし,能登半島を周回し輪島市を経由 して金沢市に至る,能登の産業・経済・観光を支える一般国道である.中屋 トンネルは,1993(平成5)年に供用された石川県輪島市と旧門前町を結ぶ延 長1.259.5mの2車線の山岳トンネルで,令和6年能登半島地震により覆工の崩 落を伴う被害が生じた.本稿は,損傷を受けた覆工の崩落や支保工の変状な どの損傷事例と,その後の調査によって得られた支保工の変状状況について 報告するとともに,損傷に応じて実施した復旧工事について報告するもので ある. トンネル地質は砂岩,泥岩礫岩互層,凝灰質砂岩泥岩互層,玄武岩,泥岩 砂岩互層(論文に記述はないが第三紀堆積岩および火山岩とみられる)から なり,発破掘削方式にて施工された.支保パターンは全体の約8割がインバ ートを有するDTまたはDUであった.土被り130mのトンネル中央付近の膨張 性地山ではDU特殊パターンで円形断面が採用された. 地震による大きな変状は上記の膨張性地山区間、および断層を伴う終点坑 口側区間で生じた。前者の変状は,側壁部の押出しが確認され,鋼製支保工 は上下半の継手位置で折れ曲がり,吹付けコンクリートのひび割れやはく 落,ロックボルト頭部の破断が確認された.後者は連続的な支保工の変状が 確認され,鋼製支保工がせん断により大きくずれ,吹付けコンクリートの塊 状落下,地山露出,ロックボルト頭部破断が確認された.これら2区間では インバートに5〜15mmのひび割れ,5〜約150mmの段差が確認された. 現地調査で内空断面の縮小が確認され,建築限界の確保のため,変状した 吹付けコンクリートや鋼製支保工を撤去し,新たに支保工を設置する縫返し 工による復旧を行う方針とした.既設の鋼製支保工が大きく変状した状況を 踏まえ,縫返し後の支保パターンはDTおよびDUからランクアップしDV 相当とした.支保工撤去前には上半範囲にシリカレジンによる注入式ロック ボルト(L=3m@0.6m)を実施した. インバートコンクリートの復旧はひび割れ幅5mm以上でひび割れに段差を 伴う個所を対象とした.インバートの復旧構造は,坑口部と同様に単鉄筋構 造とし,コンクリート厚は500mmとした.覆工コンクリートの復旧も単鉄筋 構造とし,支保工の変状の大きい箇所は,コンクリート厚を標準部より50mm 厚い350mmとした. 今後の課題として,復旧や将来の補修の際に,トンネル施工前の地質調査 および設計成果に加え,施工記録が非常に重要であると考える. Abstract Restoration of the Nakaya Tunnel Damaged by the 2024 Noto Peninsula Earthquake By Tatsuro Nishino, Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism National Route 249 is a general national highway that originates in Nanao City, Ishikawa Prefecture, loops round the Noto Peninsula, passes through Wajima City, and continues to Kanazawa City. This route supports the region's industry, economy, and tourism. The Nakaya Tunnel,a 1,259.5-m-long 2-lane mountain tunnel connecting Wajima City and the former Monzen Town in Ishikawa Prefecture, was opened in 1993. It sustained severe damage, including the collapse of its lining, during the 2024 Noto Peninsula Eathquake. This paper reports the observed damage, such as the collapse of damaged lining and deformation of support structures, as well as the state of deformation of the support structures as determined through subseciuent investigations. It also reports on the restoration works conducted in response to the damage. (以上) |