| 伊那山地トンネル青木川工区の施工報告 |
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2025.6.20 |
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| トンネルと地下 2025年(令和7年)4月 第56巻4号 (題名)早期閉合と二重支保により中央構造線の断層破砕帯を貫く −中央新幹線伊那山地トンネル青木川工区− 東海旅客鉄道(株)大谷龍平,水上達也,飛島・奥村組 森脇丈滋,武市 直人 【概要】 中央新幹線伊那山地トンネルは,全長約15.3kmの山岳トンネルであり, このうち青木川工区は延長約594mの斜坑を掘削して本坑に接続し,品川方 に延長約3.6kmの本坑をNATMで掘削するものである. ![]() 図-1 位置図 本工事では日本有数の断層である中央構造線を貫くかたちで掘削する計画 となっている.青木川直下の本坑土被りは約35mで、地質は領家帯の鹿塩マ イロナイト(花崗岩質圧砕岩)が分布し、品川方(東側)に中央構造線と三 波川帯泥質片岩・石英片岩・緑色片岩・蛇紋岩等が分布する. 本坑の掘削に先立ちマイロナイト区間の坑内から急速,方向制御,長尺の 地質調査が可能な超長尺コントロールドリリング(FSC)でノンコアボーリ ングを実施し,泥質片岩区間の約180mはすべて断層破砕帯と評価された. 追加調査では,本坑からシールドリバース工法による長尺コアボーリングを 行い,粘土化主体の断層破砕帯が幅100m近くに達し、かつ湧水を伴わない ことが報告された. この調査結果により,r=約4mの円形小断面の調査坑掘削を行った.調査 坑の施工情報をもとに,本坑では支保部材に高規格鋼製支保工H-150 (HT590),インバートストラットH-200(HT590),高強度吹付コンクリー ト(36N/mm2),高耐力ロックボルトSP24(297kN)および補助工法(AGF+長 尺鏡ボルト)を用い,早期閉合と二重支保により中央構造線の断層破砕帯を 掘削した.一次インバートの閉合距離(上半切羽から断面閉合が完了した位 置)は調査坑では5mとしていたが,本坑では下半・インバート掘削での大 きな変位が懸念され,支保部材のある程度の強度発現が必要であることや, 切羽の不安定化による作業員の安全性に配慮し6〜7mとした. 本坑の設計は調査坑のデータをもとに,変形係数125M Pa,側圧係数1.13 等の地山物性値を採用して二次元FEM解析を行い、二重支保構造と馬蹄形断 面の採用を決定した.本坑のA計測では天端沈下40mm程度,内空水平変位最 大145mm程度が生じ,二次元FEMの予測値程度であった.B計測では一次支保 工では許容値(吹付36N/mm2,鋼製支保工降伏点440N/mm2)に対して一部天 端ないし上半で大きな応力が発生したが、二次支保工では応力的に十分余裕 があった. 以上,地山強度比がきわめて小さい断層破砕帯区間において,中央新幹線 供用後の長期安定性を確保する方針に対し,早期閉合型二重支保の採用によ り良好な結果が得られた. (Abstract) Penetrating the Fault Fracture Zone on the Median Tectonic Line Using Early Closure Techniques and Double Steel Supports -The Chuo Shinkansen, the Ina-Sanchi Tunnel, the Aokigawa Lot - By Ryuhei Oya, Central Japan Railway Company The Ina-sanchi Tunnel on the Chuo Shinkansen is a mountain tunnel with a total length of approximately L =15.3 km, of which the Aokigawa Lot on the Shinagawa side is to build the tunnel using NATM for a length of approximately L = 3.6 km. In this project, it was necessary to excavate through the Median Tectonic Line, one of the most prominent fault zones in Japan. Prior to the excavation of the main tunnel, various geological surveys were conducted, and a small exploring drift was excavated to understand the groundwater conditions and geological characteristics. Based on the building information from the exploring drift, the main tunnel was excavated through the fault fracture zone of the Median Tectonic Line using early closure techniques and double steel support. In this paper, the authors report on the construction results. (以上)
2025.6.20 トンネルと地下 2025年5月 第56巻5号 題名 先進ボーリングによる前方探査を活用し脆弱な蛇紋岩区間を突破− 中央新幹線南アルプストンネル(長野工区)− 東海旅客鉄道(株)佐藤雄哉,古舘 貴,鹿島・飛島・フジタJV 上杉祥 文,烏田慎也 【概要】 南アルプストンネルは,中央新幹線事業のうち山梨,静岡,長野を貫く全 長約25kmの長大山岳トンネルであり,このうち長野工区は長野側約8.4km の区間である. ![]() 図-1 位置図 地質は中央構造線に近接する御荷鉾変成岩類と秩父帯および四万十層群赤 石帯の付加体地質が分布する. 前方調査ボーリング(高速長尺先進ボーリング:FSC-100)による地質調 査の際に,地質構造線(戸台構造線)において当初想定しなかった脆弱な地 山区間が存在することが推察された。その範囲や詳細な地質状況を特定する ため,シールドリバース工法による中尺ボーリング(L=358m)を行った結 果,脆弱な地層部は蛇紋岩であることが判明した.蛇紋岩はL=112mにわた って確認され,この区間の土被りは平均358mであった. この地質調査結果にもとづき,先進坑掘削は円形断面(r=3.5〜4.5m,掘 削断面積=38〜64m2)で,二重支保工(高規格鋼製支保工HH-154,高強度吹 付コンクリート36N/mm2),ロックボルトL=4mの支保構造及び補助工法(AGF +長尺鋼管鏡ボルト)で対処し,この脆弱区間を突破した.切羽に出現した 蛇紋岩は主に葉片状で一部粘土状であった.先進坑の支保構造の設計は、蛇 紋岩区間ではコアが破砕され強度試験に供する供試体が得られないため、地 山の膨張でボーリングが掘進不能になった現象から、ボーリングのビット径 (φ165mm)とケーシング径(φ172mm)の差分(片側3.5mm)により地山の 弾性係数を推定した. 次に先進坑の計測結果(天端沈下12〜18mm,内空水平変位48〜67mm)にも とづいて,3断面で2次元FEM解析によって再現解析を行い,初期側圧係数を 1.12〜1.35,変形係数を540〜700 MPaと求めた.本坑の支保パターンはこの 物性値で3次元FEM解析を行い,先進坑より性能を上げた支保部材を選定した (鋼製支保工HH-200,吹付コンクリート設計基準強度54N/mm2). 本坑は地山状況によって変状の発生する可能性が高い区間で,二重支保工 を施工することで,脆弱区間を突破した.断面閉合距離(最短切羽離れ)は 当初計画では6mであったが,インバートストラット作業中の安全確保が困 難であることから,切羽状況と坑内変位に応じて8〜12mとした.A計測では 天端沈下が50mm以内,内空水平変位が90mm以内で,補助工法の効果と吹付け 厚さが設計より厚いことが影響して解析値を下回った.また,B計測では, 鋼製支保工の発生応力は最大で約180〜470N/mm2が計測され,降伏強度 (440N/mm2)を超過したものの,吹付コンクリートの発生応力は,約10〜 26N/mm2で設計基準強度には余裕があり,支保工として健全な状態を確認し た. (Abstract) Breaking through Weak Serpentine Sections Using Prediction Ahead of Tunnel Face with Advanced Boring -The Chuo Shinkansen, the Minami-Alps Tunnel, the Nagano Lot- By Yuya Sato. Central Japan Railway Company The Minami-Alps Tunnel is a 25-km-long mountain tunnel that runs through Yamanashi, Shizuoka, and Nagano as part of the Chuo Shinkansen project. The Nagano Lot on the Nagano side is approximately 8.4 km in length. During the geological survey using prediction ahead of the tunnel face using advanced boring (high- speed long-length advanced boring: FSC-100), weak serpentine sections were discovered in the Todai Tectonic Line that had not been initially anticipated. To identify its extent and detailed geological conditions, a geological survey was conducted using shield-reverse boring. Based on the results of this survey, a circular support pattern was selected for the excavation of the pilot tunnel, and in some sections, double steel support was installed to excavate through the weak sections. Next, based on the excavation results of the pilot tunnel, a support pattern for the main tunnel was selected, and in some sections, double steel support was installed to excavate through the weak sections. In this paper, the authors report on the construction results. (以上) |