| x-y-z 直交座標系の弾性論基礎式 |
|---|
2025.3.20 |
| 引用元;稲田善紀著「岩盤工学」,森北出版(1997) 参考文献;S.P.Timoshenko and J.N.Goodier「Theory of Elasticity」, McGraw-Hill,Inc. 3rd.Edit.(2010) (1)弾性の定義 弾性限界内では次式が定義される。 1)σ=P/A:応力=力/面積(単位例:kN/m2)・・・(式1.1) 2)σ=Eε ・・・(式1.2) ここで,ε:ひずみ=変位/長さ=ΔL/L(単位なし) E:比例係数=弾性係数(単位例:kN/m2) 3)ν:ポアソン比=横方向ひずみ/軸方向ひずみ=ε2/ε1 (式1.3) 4)τ=G・γ ・・・(式1.4) τ:せん断応力(単位例:kN/m2) G:剛性率or せん断弾性係数(単位例:kN/m2) γ:せん断ひずみ(単位なし)=ΔL/H=tan α≒α 5)相互関係 G=E/{2(1+ν)} ・・・(式1.5) ![]() 図-1 せん断応力とせんひずみ (2)応力と釣り合い方程式 微小面に働く力は一般に傾きをもっており,その力ベクトルの「微小面に垂直な力成分/面積」を垂直応力σ(normal stress),「接線方向な力成分/面積」をせん断応力τ(shear stress)と呼ぶ. また、外力には、物体の表面にはたらく表面力(surface force)と重力や遠心力のような物体力(body force)がある. ここで、釣り合い状態にある微小な直方体(直角座標系)を考え,せん断力を次のように表現すると、二つのせん断力は等しいといえる. τxy(x軸に垂直な面に作用するy軸方向のせん断力)=τyx(y軸に垂直な面に作用するx軸方向のせん断力) ![]() 図-2 Z=0の断面の微小直方体のせん断応力 ∴ τxy=τyx,τyz=τzy,τzx=τxz ・・・(式1.6) したがって,釣り合っている直方体の応力は,σx,σy,σz,τxy,τyz,τzxの6個の応力が得られると,直方体内のあらゆる面における応力が決定できる. いま、微小直方体のx軸に垂直な面にはたらく物体力をXとすると,x軸方向の力のつり合いは次式のようになる. {σx+(∂σx/∂x)dx}−σx}dydz+{τyx+(∂τyx/∂y)dy} −τyx}dxdz+{τzx+(∂τzx/∂z)dz}−τzx}dxdy+Xdxdydz=0 (∂σx/∂x)dxdydz+(∂τyx/∂y)dydxdz+(∂τzx/∂z)dzdxdy +Xdxdydz=0 ∴(∂σx/∂x)+(∂τxy/∂y)+(∂τzx/∂z)+X=0 同様に計算し次の「応力の釣合い式」3式が与えられる. (∂σx/∂x)+(∂τxy/∂y)+(∂τzx/∂z)+X=0 (∂σy/∂y)+(∂τyz/∂z)+(∂τxy/∂x)+Y=0 (∂σz/∂z)+(∂τzx/∂x)+(∂τyz/∂y)+Z=0 ・・・・・(式1.7) ここで2次元の場合の「応力の釣合い式」は次の通り. (∂σx/∂x)+(∂τxy/∂y)+X=0 (∂σy/∂y)+(∂τxy/∂x)+Y=0 ・・・(式1.8) ![]() 図-3 微小直方体上の応力成分と釣合い(稲田「岩盤工学」1997,pp42) 加筆:マーキング(x軸方向の釣合い応力成分) (3)ひずみと適合条件式 ひずみには次の二種類がある. ・縦ひずみ (longitudinal strain) or 垂直ひずみ (normal strain):εx,εy,εz ・せん断ひずみ (shear strain):γxy,γyz,γzx 微小立方体に外力が加えられて変形し,x,y,z方向の変位がu,v,wとすると,それぞれの方向の垂直ひずみ成分εx,εy,εzは次のような関係にある. εx=∂u/∂x εy=∂v/∂y ・・・(式1.9) εz=∂w/∂z 次にx-y座標系の第1象限に原点Oを格子点とする正方形OABCが菱形のO'A'B'C'に変形したものとする。このときのx軸方向とO'A'の挟む角度をθ1,y軸と O'C'の挟む角度をθ2とすると,せん断ひずみは次のように求められる. γxy=θ1+θ2=tanθ1+tanθ2=(∂v/∂x)+(∂u/∂y) 同様にγyzとγzxを求めると次の3式が与えられる. γxy=(∂u/∂y)+(∂v/∂x) γyz=(∂v/∂z)+(∂w/∂y) ・・・(式1.10) γzx=(∂w/∂x)+(∂u/∂z) ここで,x-y平面について考えると,式1.9及び式1.10から εx=∂u/∂x (式1.11) εy=∂v/∂y (式1.12) γxy=(∂u/∂y)+(∂v/∂x) (式1.13) 式1.11をyで2度微分すると ∂εx/∂y=∂2u/∂x∂y,∴∂2εx/∂y2=∂3u/∂x∂y2 式1.12をxで2度微分すると ∂εy/∂x=∂2v/∂y∂x,∴∂2εy/∂x2=∂3v/∂y∂x2 式1.13をx,yで微分すると ∂γxy/∂x=(∂2u/∂y∂x)+(∂2v/∂x2) ∴∂2γxy/∂x∂y=(∂3u/∂y2∂x)+(∂3v/∂x2∂y) 上記3式を組み合わせると ∂2γxy/∂x∂y=∂2εx/∂y2+∂2εy/∂x2 y-z面およびz-x面についても同様に行い, 次の「ひずみの適合条件式」を得る. ∂2εx/∂y2+∂2εy/∂x2=∂2γxy/∂x∂y ∂2εy/∂z2 +∂2εz/∂y2=∂2γyz/∂y∂z ∂2εz/∂x2+∂2εx/∂z2=∂2γzx/∂z∂x ・・・(式1.14) 以上の3式を満足しないひずみは存在しない. (4)応力とひずみの関係 直交座標系に接する直方体のx,y,z軸方向の垂直応力を主応力σ1〜σ3とする. σx=σ1,σy=σ2,σz=σ3 ここで,各軸方向のひずみをεx=ε1,εy=ε2,εz=ε3およびポアソン比をνとすると,主応力σ1によるひずみは, ε1=1/E・σ1,ε2=−ν/E・σ1,ε3=−ν/E・σ1であるから 行列式で表現すると ![]() ・・・・(式1.15) すなわち ε1=1/E{σ1 −ν(σ2+σ3)} ε2=1/E{σ2 −ν(σ3+σ1)} ・・・(式1.16) ε3=1/E{σ3 −ν(σ1+σ2)} 変位が小さい弾性領域で,一般化すると εx=1/E{σx −ν(σy+σz)} εy=1/E{σy −ν(σz+σx)} ・・・(式1.17) εz=1/E{σz −ν(σx+σy)} |
| |
| 直交座標系のひずみと応力の適合条件式 |
|---|
2025.3.20 |
| (5)平面応力問題の適合条件式 平面応力状態(※1)の応力とひずみの条件は次の通り. σz=0,εz≠0,τxz=τzx=0,τyz=τzy=0 ・・・(式1.18) ※1 薄板モデルで,表面に平行にx,y方向に力が作用し,z方向には変位はあるが力の拘束の無い場合の薄板内部の応力状態をいう. 式1.17および式1.4,式1.5から εx=1/E(σx - ν・σy) εy=1/E(σy - ν・σx) ・・・(式1.19) γxy=1/G・τxy=2/E・(1+ν)τxy (※2) ※2 せん断ひずみの定義式 ![]() 図-4 平面応力状態 ここで式1.19を式1.14(上)に代入すると,1/Eは各項共通であり消去し ∂2 (σx−ν・σy)/∂y2 +∂2(σy−ν・σx)/∂x2 =2(1+ν)∂2τxy/∂x∂y ∂2σx/∂y2−ν∂ 2σy/∂y2+∂2σy/∂x2− ν∂2σx/∂x2 =2(1+ν)∂2τxy/∂x∂y・・・・(式1.20) ここで,力のつり合い式1.8から (∂σx/∂x)+(∂τxy/∂y)+X=0 ・・・(式1.21) (∂σy/∂y)+(∂τxy/∂x)+Y=0 ・・・(式1.22) 式1.21をxで微分すると (∂2σx/∂x2)+(∂2τxy/∂x∂y)+∂X/∂x=0 ・・(式1.23) 式1.22をyで微分すると (∂2σy/∂y2)+(∂2τxy/∂x∂y)+∂Y/∂y=0 ・・(式1.24) 式1.23と式1.24を合算し,両辺を(1+ν)を掛けて (1+ν)(∂2σx/∂x2)+(1+ν)(∂2σy/∂y2) =−2(1+ν)(∂2τxy/∂x∂y)−(1+ν)(∂X/∂x+∂Y/∂y) ・・・(式1.25) 式1.20に式1.25を辺々加えると,2(1+ν)(∂2τxy/∂x∂y)が消去され ∂2σx/∂x2+∂2σy/∂x2+∂2σx/∂y2+∂2σy/∂y2 =−(1+ν)(∂X/∂x+∂Y/∂y)・・・(式1.26) ∴(∂2/∂x2+∂2/∂y2)(σx+σy) =−(1+ν)(∂X/∂x+∂Y/∂y)・・(式1.27) 上式が「平面応力状態のx−y座標平面における適合条件式」となる. また,物体力が自重だけの場合(X = 0,Y = ρg)や自重を無視できる場合(X = 0,Y = 0),すなわち,∂X/∂x=0 and ∂Y/∂y=0のケースで,右辺は0となる. ∴(∂2/∂x2+∂2/∂y2)(σx+σy)= 0 ・・・(式1.28) (6)平面ひずみ問題の適合条件式 平面ひずみ状態(※3)の応力とひずみの条件は次の通り. σz≠0,εz=0,γxz=0,γyz=0 ・・・(式1.29) ※3 堤防やトンネル等のZ方向に連続するモデルで,x,y方向に平行に力が作用する.z方向には応力は発生するが,変位は拘束される状態をいう. 式1.29および式1.17から εz=1/E{σz−ν(σx+σy)}and εz=0から σz=ν(σx+σy)となるため εx=1/E{σx−ν(σy+σz)} =1/E[σx−ν{σy+ν(σx+σy)}] よって,εx=1/E{(1−ν2)σx - ν(1+ν)σy} 同様に,εy=1/E{(1−ν2)σy - ν(1+ν)σx}・・(式1.30) 定義から,γxy=1/G・τxy=2/E・(1+ν)τxy ![]() 図-5 平面ひずみ状態 ここで式1.30を式1.14(上)に代入すると,1/Eは各項共通であり消去し ∂2 {(1−ν2)σx - ν(1+ν)σy}/∂y2 +∂2{(1−ν2)σy - ν(1+ν)σx}/∂x2 =2(1+ν)∂2τxy/∂x∂y ∂2 {(1−ν)σx - ν σy}/∂y2 +∂2{(1−ν)σy - ν σx}/∂x2 =2 ∂2τxy/∂x∂y ∂2(1−ν)σx/∂y2−ν・∂2σy/∂y2 +∂2(1−ν)σy/∂x2− ν・∂2σx/∂x2 =2 ∂2τxy/∂x∂y・・・・(式1.31) 次に,力のつり合い式1.8から (∂σx/∂x)+(∂τxy/∂y)+X=0 ・・・(式1.32) (∂σy/∂y)+(∂τxy/∂x)+Y=0 ・・・(式1.33) 式1.32をxで微分すると (∂2σx/∂x2)+(∂2τxy/∂x∂y)+∂X/∂x=0 ・・(式1.34) 式1.33をyで微分すると (∂2σy/∂y2)+(∂2τxy/∂x∂y)+∂Y/∂y=0 ・・(式1.35) 式1.34と式1.35を合算し, (∂2σx/∂x2)+(∂2σy/∂y2) =−2(∂2τxy/∂x∂y)−(∂X/∂x+∂Y/∂y)・・(式1.36) 式1.31に式1.36を辺々加えると,2(∂2τxy/∂x∂y)が消去され (1−ν){∂2σx/∂x2+∂2σy/∂x2 +∂2σx/∂y2+∂2σy/∂y2}=−(∂X/∂x+∂Y/∂y) ∴(∂2/∂x2+∂2/∂y2)(σx+σy) =−{1/(1−ν)}(∂X/∂x+∂Y/∂y)・・(式1.37) 上式が「平面ひずみ状態のx−y座標平面における適合条件式」となる. 物体力が自重だけの場合(X = 0,Y = ρg)や自重を無視できる場合(X = 0,Y = 0),すなわち,∂X/∂x=0 and ∂Y/∂y=0のケースで,右辺は0となる. ∴(∂2/∂x2+∂2/∂y2)(σx+σy)= 0 ・・(式1.38) 円孔の掘削問題などにおいて,深度依存する自重応力場で,側圧係数k=0のとき,X = 0,Y = γt(h−y)のため, (∂2/∂x2+∂2/∂y2)(σx+σy)= γt/(1−ν)・・(式1.39) (以上) |
| |